【年収別】
まず頭金を計算しよう
家を建てたい、と思い立って最初にやるべきことは、どんな暮らしをしたいのかを家族で話し合うことです。この段階では何の制限も設けず、自由にいろいろな希望を出し合ってみることが重要。せっかく新しい暮らしを始めるなら、最初から不可能と決めつけずに様々なアイディアを出し合ってみましょう。
その後は現実的な話です。実際にどのくらいの金額が用意できるのかを考え、土地の広さや住宅の規模やタイプを絞っていかなければなりません。まずは簡単に、以下の2つを考えてみましょう。
- ① 自己資金の金額
- ② 住宅ローン借入額
①+②の金額が、注文住宅を建てるために必要な総費用をまかなえる金額でなければなりません。①は、自分たちで用意できるお金。このときに貯金をすべて①にあてて考えるのは絶対にNGです。いざというときのための生活予備費や将来への貯蓄を残した上で、余裕を持って算出しましょう。これがローンを組む際の頭金になります。
では、次に②のローン借入額はいくらになるかについて、詳しく見ていきます。
住宅ローンで借りられる額はいくら?
例えば、どんな家を建てたいかを先に考え、どのくらいの金額がかかるかを計算し、仮に総費用が5,000万円だったとしましょう。そこで上記の①、つまり頭金として用意できる金額が500万円だった場合、単純計算で4,500万円を住宅ローンで借りれば、理想の家が建てられることになりますよね。
しかし、住宅ローンでは借りたい額を好きなだけ借りられるというわけではありません。住宅ローンにはいろいろな種類がありますが、例えば、中長期の住宅ローンとして非常に人気の高い「フラット35」のホームページには、年収から借入可能額を計算できるページがあります。ここで「借りられる額」を算出することができますね。
しかし、注意しなければならないのは、「借りられる額」=「返せる額」ではない、ということです。多くの金融機関では、返済比率の上限を年収の30〜35%に設定していますが、これでは、年収に対する適正家賃をかなり上回る金額になってしまうのです。何もない月にはこれでも無理なく返済できるかもしれません。しかし、家族の誰かが怪我をした、病気になった、あるいは親戚や友人の冠婚葬祭などで出費が重なった、勤め先の給料が下がったなど、人生ではいつ何が起こるかわかりません。そんなときにたちまち困窮してしまうのがこの「借りられる額」だと思っておきましょう。
一方で、金融機関が設定している理想の返済比率は、年収の20〜25%以下となっています。つまり、借入額を年収の5〜6倍にしておくと、月々の返済額が家計を圧迫することなく、無理なく返していける可能性が高いということですね。
自分が買うことができる注文住宅の金額はいくら?
では、もう一度おさらいしてみましょう。上記でお伝えした注文住宅の総費用としてかけられる金額は、以下のように考えておくと安心です。
- ① 自己資金の金額→生活予備費や将来への貯蓄を残した上で算出!
- ② 住宅ローン借入額→年収の5〜6倍の金額にとどめる!
これが、注文住宅を手に入れるためにかけられる金額の総費用です。
- ①本体工事費 総費用の7〜8割
- ②別途工事費 総費用の1.5〜2割
- ③諸費用 総費用の0.5〜1割
という総費用の内訳を考えると、住宅メーカーが提示している坪単価から算出される「家の値段」はこの①に相当しますので、仮に総費用が3,000万円だった場合は2,400万円以下の価格帯で検討しなければならないということです。逆に、希望の家の本体工事費が1,500万円だった場合、総費用は2,000万円以下になると算出されますので、ローン借入額をさらに下げることができますね。
無理な返済計画を立てて素敵な家を手に入れたとしても、その後ローン返済のために毎日遅くまで働いて、家には寝に帰るだけ、家族との時間もほとんど取れない、などということになってしまっては本末転倒です。総費用の内訳をしっかり把握した上で、余裕をもった資金計画を立てて臨みましょう。